ここで一度間をとり、より優しく語りかけました。

「C君自身はいい子です。中にある病気が悪さをしているのです。生まれついてのものであり、決してお母さんの育て方のせいではありませんよ」

私がそう話した瞬間、母親の目に急に涙がたまっているのがわかりました。

「ソファーの横にティッシュがあるから使っていいですよ」

C君の母親は、声を出して泣き始めました。当然です。今日の今日まで自分の育て方が悪かったと、毎日自分を責めていたのです。

ここでのポイントは、ミニカーで遊んでいるC君に聞こえるようにわざと大きめな声で「C君自身はいい子です」と自然に話すことなのです。

文句ばかり言っている陰険なタイプの自閉スペクトラム症の子でさえ、この「いい子」ということばに反応して、少しはこちらの話を聞くようになります。

「遺伝も原因の一つです。先ほどの家族歴で伺ったことから考えると多分、おじいちゃんの遺伝でしょう。お父さんも似ているところがあると思います。でも、おじいちゃんが悪いわけではありません」