第一章 ほうりでわたる

少年雑誌に夢中になる

小学校の五、六年生のころは講談社の『少年クラブ』や光文社の『少年』の愛読者でした。父の手伝いをすると、小遣いがもらえます。少しずつためて、本屋に買いに行くのが楽しみでした。

江戸川乱歩の『怪人二十面相』や手塚治虫の『鉄腕アトム』も連載されていましたので、夢中で読んでいました(一冊百円から百三十円くらいだったと思います)。

付録も素晴らしく、少年たちの工作する夢を誘います。毎号予告が出ていて、次の号が楽しみでした。工作用クラフトの船、世界初のジェット旅客機コメットは模型としては素晴らしい出来栄えでした。紙で作る蓄音機にソノシートが付いていたこともありました。

山川惣治が描くジャングルの冒険ものにも魅了されましたが、小松崎茂の宇宙画には、まだ人工衛星が飛んでいない時代に、人工衛星やロケットなどの絵がリアルに描かれていました。

買った本は、姉や妹がスカートのシワを伸ばすのに寝押し(布団の下に敷いてシワを伸ばす)をしていたように、本のシワを伸ばすため寝押しをして大事に扱っていました。

中学生になると『子供の科学』などに興味を持ち、鉱石ラジオやコイルを巻いてモーターを作るなど、電池を使った工作に興味が移っていきました。私のものづくりの原点は、このあたりにあったようです。