心房細動に対する薬物療法とアブレーション

心拍数は1分間に60~100回くらいの割合で規則正しく拍動しています。これが乱れることを不整脈といいます。その中でも一番多いのが心房細動で、心房が1分間に300~600回も震え、脈がバラバラになり、不規則に脈が速くなります。

動悸や息切れで気づくことはありますが、多くは無症状です。心房細動では血流がよどみ、心臓内血栓が生成されて、塞栓となって脳梗塞の原因となるのです。

薬物療法としては、主にベータブロッカーなど脈拍を遅くする不整脈薬が用いられます。この療法では、心房細動になっても心拍数があまり早くならないようにしたり(レート・コントロール)、心房細動自体を起こさないようにする予防治療薬(リズム・コントロール)が用いられます。

これらの薬は、一時的には心房細動を抑えるのに有効であっても、時間経過とともにその効果が弱まってしまうことが知られています。また、心臓および全身に副作用を生じやすい傾向もあり、医師の慎重な経過観察の下に使用する必要があります。

最近、心房細動アブレーション「カテーテルアブレーション (心筋焼灼術)」といって、カテーテルを用いて心房細動が生じないように心房筋に熱を与えて焼灼してしまおうという治療が行われるようになってきました。

心房細動のメカニズムは現在でも十分に解明されているとはいえませんが、多くの心房細動は、左心房に入る4本の肺静脈から過剰な刺激が発生することで起こります。

これを受けて、左心房と肺静脈の間を電熱で焼灼(やけどを作る)して、異常な電気信号の通り道を遮断して、心房へ流れ込まないようにして、心房細動を根治する治療が行われるようになってきました。

発作性心房細動であれば、1回目の治療で70~80%根治させ、再発してしまっても2回目までの治療で80~90%までを根治させられるようになりつつあります。

カテーテルアブレーションは、静脈麻酔で眠っている間に治療を行っています。足の付け根から、心臓にカテーテルを挿入 して、心房細動の原因となる部位を焼くことで治療します。この治療は一部の高度施設において、専門医が行うだけで、広く普及する治療にはなっていないのが現状です。

[図1]不整脈患者の心電図。アブレーション前
[図2]アブレーション後。不整脈は消失している
※本記事は、2020年1月刊行の書籍『脳梗塞に負けないために 知っておきたい、予防と治療法 』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。