2012年度の文部科学省の全国調査では、通常学級に所属する子の6.5%に発達障がいの疑いがあるという結果が出ました。これは、30人のクラスの中に、おおよそ2人は該当する子どもがいるという計算になります。

つまり、発達障がいは、この社会で生きていく中で非常に身近な存在だということです。

そのような状況が明らかになるにつれ、さまざまなメディアで発達障がいが取り扱われるようになったため、その言葉を耳にする機会や、存在を知っていたりする方は近年増えてきました。

政府も2005年に「発達障害者支援法」を施行し、各県に1カ所以上、発達障がいを持つ人たちの療育や就労のサポートを行う、発達障害者支援センターを設置するなどの支援体制を整え始めたのです。

しかし、このセンターも2018年にはパンク状態になっている県が続出しています。茨城県では、2019年度に第二のセンターが県南地区にできる予定です。

このように発達障がいに対する関心が高まり、手を差し伸べてくれる体制が整いつつあるにも拘(かか)わらず、Aさんのように、お子さんとどう向き合っていけば良いのかわからずに悩んでいる親御さんや自ら違和感を覚えて私のクリニックに駆け込んでくる人は、あとを絶ちません。

むしろ近年、発達障がいの存在がネット等で知られ断片的な知識が入るようになったがために、必要以上に不安をあおられている人が多いようにも感じます。

本来なら積極的に手を差し伸べなくてはならない保健師や教師、医師に発達障がいに関する知識がまだまだ浸透していないことが、そんな現状を生み出している大きな要因の一つだと私は考えています。