十一月二十一日(土) 神経内科、吉田医師の説明

その後、幾人かの医師と面談を重ね、結果、少々強引に畳み込むような格好で母を納得させ、腹部組織および脳脊髄(せきずい)の生検を済ませ、かくして検査結果を聞く日となった。

「今日は先ず息子さんだけで……」と、呼び出された時、一抹の嫌な予感がよぎった。

「原発がどこであるか分からない現段階では“強い疑い”としか言えないのですが、採取した組織の染色状態から見ると、九十%以上の確率で『上皮性に由来する腺ガン』であると思われます。

既に、腫瘍細胞と見られる影は、最も大きな膵臓(すいぞう)あたりを中心にした腹部から、胸・首・肩まで全身に散らばっていて、大小あわせて百個以上も多発している状態であるので、これはもう手術は不可能です。

それに加え、脳の腫瘍は悪質かつ極めて進行が早いとされる膠芽腫(こうがしゅ)と見られるため、どう手段を講じても根治は無理だと言えます。

はっきり申し上げて、あと数ヶ月か半年……、もし、化学療法が最大限うまくいったとしても、一年くらいの延命ができるかどうかというところでしょう」

※本記事は、2020年7月刊行の書籍『ありがとうをもう一度』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。