藤波がバックステージで猪木に要求を迫ると、猪木は「できるのか!?」と迫り藤波にビンタするが、すぐに藤波もビンタを猪木に返して、ハサミを持ち出して前髪を切り始めると、猪木が慌てて「落ち着け」となだめたシーンもあった。

新日本の代表(会長)だった頃は、K-1やPRIDEに新日本のプロレスラーを送り込み、自らの新日本のリングで“アルティメット・クラッシュ”というMMAの試合をして、かなりの批判を浴びた。私は、猪木の「総合もプロレスも同じだ」という発想に、同じ戦いという意味では少し賛成するので、嫌ではない。

UFCで活躍しているマチダ・リョート(日本名、LYOTO)が新日本のMMAの試合で、判定で勝利した時も、戦い終わったばかりのLYOTOに、猪木が活を入れる為か、判定で情けないと思ったのか、リング下でパンチ(ナックルパート)を与えた。“闘魂注入”であるが、やられた方はたまらないだろう。

中邑真輔も、新日本で試合後、猪木にパンチを食らって地元の京都に帰ったことがあった。

安田忠夫もIGFのリングだと思うが、情けない試合に、解説席の猪木から、弟子の藤原喜明に「行け!」と命令が飛び、藤原が安田にパンチをしたが、怒りかけた安田に藤原が泣き顔で安田を見ると、安田も納得して怒りを抑えた。

いろいろと厳しい面もあるが、逆の優しい面も凄く感じる。

テレビのバラエティー番組などに出ても、頭が切れて面白い。私は昔、都市伝説を聞いた。

「猪木が若者に『気合い入れて下さい!』と言われると、頬に“闘魂ビンタ”をするが、ある日、『腹にパンチしていいですか?』というファンがいて、猪木の腹にパンチを入れると、猪木は痛かったのか、反射的にビンタをしてしまったことがある」という話(笑)。

猪木は「夢を追い続ける事はやめられないことだ」と言う。猪木は本当に偉大な人だ。