考察・選手

1 アントニオ猪木について。(ウィリー・ウィリアムス戦や、最近の猪木論)

2018年4月6日(金)

最近は、アントニオ猪木を全く見なくなった。

一番、近いのは去年の「プロ野球珍プレー好プレー大賞」の映像で、横浜スタジアムに登場し、「ゴメス選手出て来い!」と言って、G後藤武敏選手(現、引退)に闘魂ビンタ!を、お見舞いしたことだ。ウィキペディアで調べると、猪木は横浜生まれらしい。雑誌をチラッと見たら、IGF(イノキ・ゲノム・フェデレーション)とは違うものだと思うが、猪木はかなり高齢になったので、生前葬という興行もやった。

猪木は当時、国会議員だったが、国会で話し始めに「元気ですかー!」と言って、話し終えたら、国会の事務方に「心臓に悪くて、ビックリする方もいるので、今後はやめてください」と注意を受けて「すみません」と言っていた。しかし、翌日、また答弁をすることになったら、マイクの内側に溜めながら、「元気ですかー!」と言っていた。「これをやらないと、どうしても始まらないので……」と弁解していたが、あれは面白かった。

去年か一昨年、「プロレス総選挙」という番組があったが、猪木は、歴代のプロレスラーの中で、ダントツで票を集めて1位に輝いた。

テレビ朝日の倉庫から取り出して、新日本プロレスの猪木対モハメド・アリの試合での、試合中のルールの攻防、煽り、アリ側のセコンド、WWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)(当時のWWF〔ワールド・レスリング・フェデレーション〕)のフレッド・ブラッシーの存在、猪木側のセコンド、カール・ゴッチの存在、試合中のセコンドの声を全て字幕で忠実に再現させて、15ラウンドまで戦ったエピソードをやっていた。

アリ戦は真実(ほんとう)の意味で生きるか死ぬかの戦いだが、猪木―アリの試合内容を見ると、繰り返し見たいとは思わない。

猪木の真実の勝敗の売り買いなしの試合だったら、アリ戦以上のベストバウトになる異種格闘技戦は、新日本での空手家ウィリー・ウィリアムス戦が一番緊張感があった。猪木よりもはるかに身長も横幅も大きい筋肉質の黒人選手“クマ殺し”ウィリアムス戦。猪木が近寄ると、前蹴りや回し蹴りで、どんどん猪木のダメージを奪っていく。

猪木としてはグラウンドで関節技に持っていきたいが、ウィリアムスの力は強すぎる。2人が場外に転げ落ち、場外で猪木がウィリアムスに、腕ひしぎ逆十字固めを極めるが、結果は、猪木のあばら骨が折れているのと、ウィリアムスの腕が伸びてしまったことで、レフェリーストップで「両者引き分け」だった。

場外カウントで続行不可能で「引き分け」だったのかもしれない。私にとって猪木の試合で1番凄かった試合はウィリアムス戦だ! 猪木の戦いは熱い!

他にも、巌流島。ベイダーの投げっ放しジャーマンを食らう。ハルク・ホーガンの“アックス・ボンバー”で失神舌出し。猪木対グレート・ムタ……などある。

2020年には、獣神サンダー・ライガーと、タイガー服部レフェリーの両引退セレモニーにVTRでサプライズ登場してコメントを送った。思いやりのある人柄だ。

※本記事は、2020年7月刊行の書籍『アイディア・プロレスコラムDX』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。