核心2

5 5Fからの建設コスト

5階建て以上は消防法が厳しくなる

2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など近年の大規模な地震被害などもあって、消防法が厳しくなってきたのはご承知のところだと思う。

ひとつは、ビルやマンションの建築で5階建て以上のマンションには、避難通路を2方向に向けて設置、外部避難通路が新たに加わった(図1)。そのため建築費用は上昇し、外部避難通路を増設することで部屋数が減ってしまうなど影響も出る。

[図1]5階以上の建物には外部避難通路を2方向に設置する必要がある

消防法の関係では、アパートやマンションの延床総面積に応じて、煙探知機や熱感知器などの設置機種が制限されている。延床総面積が500平米以内は「火災報知器」、500平米以上は「自動火災報知器」を設置しなければならない。

火災報知器は一室2万円程度、自動火災報知器は一室7〜8万円なので20室のマンショ ンだと、合計約160万円程度の経費が必要に なる。4階建てでワンルーム18室程度なら、延床面積は500平米以内に収まるので「火災報知器」、5階建て以上になると500平米を超えるため「自動火災報知器」を設置しなければいけない(図2)。無理に5階建てにする必要はないということが分かってもらえると思う。

[図2]5階以上で延床面積500㎡以上の建物には自動火災報知器が必要

「自動火災報知器」は、熱や煙を感知し受信機に火災信号を送ることで建物内の各部屋に火災の発生を知らせる設備。近年は煙・熱感知器と部屋のインターホンが連動し、どの部屋で火災が起きたかが瞬時に分かるシステムもある。

火災報知器は中古物件でも設置が求められる。設置義務は必ず履行すること。万が一火災があった場合、無対応だと、大家が重大な責任を負うことになるこ とは肝に銘じておく必要がある。

建築指導要綱と建築コストの関係

柱や梁の強度は、建築指導要綱である程度の数値が定められている(図3)。4階建てまでの柱は幅350ミリ×厚み12ミリ、5階建て以上は450ミリ×18ミリとなり柱が太くなって厚みも増す。梁も同様に、4階建てに比べ5階建ては当然強度が求められ、コストが掛かることは明らかに分かる。

[図3]柱や梁の強度はある程度の数値が定められている

仮に、4階建てか、5階建てかで悩んでいる人がいるとすれば、私なら間違いなく4階建てを選択する。ただしこれは新築物件を検討している人に対してで、中古物件の話は別になる。

建築構造や部屋数などの条件が 同じで4階建てと5階建ての物件があるとすれば、柱や梁にコストを掛けた分、強度もあるので、中古物件なら5階建てを買ったほうが得だ。

建築指導要綱は都市整備の基本方針などから掛け離れた建築行為があることから、地方自治体などが行政指導として、これらを規制している。

※本記事は、2019年8月刊行の書籍『大家業は寝ててもチャリンチャリン 工務店社長が教える4つの核心』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。