それから大阪に戻った私はしばらく気持ちがとても不安定だった。

学校は夏休みでバイトだけの日々だったが、突然涙が溢れたりしていた。

外を歩いて親子が手を繋いで歩いているのを見るだけで、「なんて幸せなん人達なんだろう」と泣けた。

数週間、そんな日が続いたが、ある時もういっぱいいっぱいになってしまった。

この、恐ろしい速さで浮かんでは消え、浮かんでは消えてゆく気持ちの断片をどうしたらいいのか。

どうすればこれがおさまるのか?

おさまる日は来るのか?

考えた挙句、私は、浮かんでは消え、消えては浮かび、を永久に繰り返す気持ちの断片を全てノートに箇条書きで書き出すことにした。

何ページにもわたった、長い長いノートができあがった。

思いつく限り、全部全部書き出した。

そうすると…なんとも不思議なことに、気持ちがおさまってきた。

ノートに書き出すという作業は、気持ちを吐き出して整理するという、とても良い作業になったようだった。

その後頭に浮かんだのは、「なぜこんなに悲しんでばかりいるのか?」だった。

悲しむことばかりにエネルギーを使うのがもったいないと思った。

このまま悲しみ、憎しみ、恨み、辛みでいっぱいの人間にはなりたくないと思った。

嫌なこと、不幸なこと、悲しいことが起こっても、その後の人生をどう生きるかはその人次第だ。

堕落するのも、その経験を生かして登っていくのもその人次第だ。