医学部受験が気になるなら、目指す大学医学部に進学した後、専門教育の始まる前の教養の時期に留学するのは良いチャンスと考えます。

高校生で留学する場合には、多くの場合その国の家庭に家族の一員として迎えられます。海外の家庭事情が手に取るようにわかり、大いに参考になります。

他方大学生として留学する際には、大学の寮に入って生活することになります。どちらでも学友はたくさんできますし、英語を通じてさまざまな意見交換ができます。英語を使わないと大学の勉強についていけないし、生活も制限されます。

普段の生活で自然と英語が身に付いてきます。もし生活上日本語を全く使わなければ、2、3カ月たつと英語で物事を考えるようになり、数段英語会話能力は上達します。(私の場合も2カ月後には英語で夢を見るほどになり、英語で思考しているな、とわかりました。)

また帰国後も、英語を積極的に使うようになります。その後の医学の専門用語も、日本語と共に英語でも覚えるようになります。その後英文論文を読む際に役立っています。

なにより重要なのは、このような留学経験を通して、視野が広がることです。そしていろいろな方との交流が深まります。人との会話においても、相手の立場を尊重しつつ、自分の意見を明確に主張できるようになります。

米国はもちろん、その他の国でも人間関係や会話、さらには討論などに力を入れます。その中で限られた期間でも同様の経験を深めて、社会人としての大切な素養が身に付いてくるでしょう。

ここでは海外留学のことを述べましたが、もう少し気軽に短期間で、海外旅行や国内旅行をするのでもよいでしょう。最近の学生さんは旅行が大好きな人が多いようです。せっかく旅行して違う世界を見分するのなら、短い期間ではなく、少し長い目の期間で、滞在型の旅行をされてはどうでしょう。

その滞在期間中に、その国や地方に住んでおられる方々との交流を、積極的にしてほしいものです。現地の人との交流は、それぞれの地方の様子を理解することに役立つでしょう。

また自分がこれまで住んでいる地域の特徴を、あらためて再認識することにも役立ちます。手軽な国内旅行でもよいのです。異なった地方をあちこちめぐることで、違った文化を楽しめます。また改めて自分の住む地域のよさを理解することにも有効でしょう。

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