1 医学の道とは?

医学とは、さまざまな角度から病気と向き合う学問です。その中には発症した病気に対して、的確な診断を下し、最適な治療をほどこすことに取り組む、臨床医学の領域があります。またその病気の本質、さらにはその発症のメカニズムをとらえて、それを未然に予防する病因究明から、予防医学に至る、最新の学問も含みます。

さらにはその病態をとらえて、的確な治療を推進しようとする先端治療の研究領域もカバーします。このようにさまざまな角度から病気と向き合い、健康を取り戻すことを目指して、人の命を守り、人生の質を向上させることを目的とした学問とも言えます。

医学の中には、人の体の機能と構造について研究し、病気の原因を明らかにする「基礎医学」、衛生学や法医学・犯罪学など医学と社会の関わりについて考察する「社会医学」、基礎医学の成果に基づいて実際に病気を治療するための研究を行う「臨床医学」などがあります。

医学の道では、主に病気を対象としますが、同時に病にかかって苦しんでいる病人を対象とします。その意味では疾病と共に、人を対象とする機会が多い領域です。また病人を対象とするのは医師だけでなく。看護師や臨床検査技師、放射線技師等の施術系職員などと、医療チームを作って、作業をする機会も多いです。病に苦しむ患者さんを対象として、関連する多職種の人達のチーム力を活かして、対応する機会の多い専門分野とも言えます。

その意味では、数多くある職業の中でも、かなり特殊性のある分野です。臨床の現場は多忙で大変な業務ですが、またやりがいの大きい領域とも言えます。その意味で、医学の道を選択するには、十分な覚悟をもって臨んでほしいと思います。

なお医師の場合、弁護士や教師等と同様に、定められた資格を取得する必要があります。それぞれの道を目的とする大学の学部に進学し、所定の単位を取得することが求められます。医師になるためには、医学部に入学して、そこでの単位を取得後、めでたく卒業すること、そして医師国家試験に合格することが必要です。

他方、医学の道には、医師の資格をとらずに、医学研究者として主に基礎的な領域で、病気の発症のメカニズムや予防などに取り組む、生物学的な専門分野もあります。さらには、医師を取り囲んで、共に医療を支える看護師、放射線技師、臨床検査技師。さらには理学療法士等の専門の道もあります。

このような医療を様々な立場から支えていく医療チームも大切な道であることを付け加えておきます。医師はそのような基礎医学者や、さまざまな専門資格を持つ人々とチームワークをとって、医療を支えていきます。

いずれにせよ、大変な道ですが、患者さんに直接接して治していく、あるいは病気そのものに取り組んで、その原因を追究して、診断や治療の開発を推進する、価値の高い道です。これから医学の道をどのように選択して、進んでいくのかについて、説明していきましょう。