アシナガバチが二匹、日当たりのいい葡萄の蔓の周りを、長い脚をなするようにして伝っていった。

四人の女たちは、連れ立って中庭に出た。

白塗りの金属製の椅子を並べたテラスがあった。

テーブルは同じく白い円形のものが二台。周囲には丸い葉を並べたシロツメ草がびっしりと生えていた。店が混んできたときは、こちらも客席として使っていた。

ここ数日は暑さがひどいため、ほったらかしになっており、白い円卓には、丸まった木の葉が数枚散っていた。

その奥には、繊細な葉群がそよぐ一角があった。それは睦子の作ったハーブ・ガーデンなのであった。ラベンダー、レモングラス、カモミールなどの香しい植物だった。白いプランターの中では、ミニトマトがつやつやとした宝石のような赤い実をつけていた。

その西側には、雨に打たれて壊れかけた葡萄棚があり、赤紫色をした葡萄の房が、実の表面を薄く曇らせて、葉群のそこかしこから、幾つも垂れ下がっていた。

葡萄棚の下には、陶器製の椅子が二、三置いてあるので、そのままであれば、そこは涼しげな日陰の閑雅な場所であった。

しかし視線を移すと、棚の端にえらくかまびすしい、得体の知れない塊が下げられていた。

それはいびつな大きな鳥籠で、十数羽ほどのベニスズメが押し込められているのであった。

太い針金で作った大きな籠で、小型のダンボール箱ほどもあり、外界とは関係なく、始終のべつまくなし、狂気のようになったベニスズメたちが、籠の中を上下左右に飛び回っていた。そのため籠の内部の色彩は、たえず半透明に混沌としていた。

これは睦子が以前から飼っている騒々しい小鳥たちで、増えてしまって室内に置くとうるさいので、天気のいい日には、庭の日陰に、朝方から吊り下げているのである。

【前回の記事を読む】美しい庭は、強欲な権力者が歌劇団の妾を囲った庭だった…。