家に着いて中を見ると幼い弟と妹は泣きじゃくっていた。

「お兄ちゃん、ママが…恐ろしい男達が来てママを連れて行った」ユージンに二人は泣きじゃくりながら言った。

彼らの足元にいた子犬のタイガーとフレイジャーが、ユージンとジュピターのほうに駆け寄ってきた。

あまりの出来事にユージンは言葉を失った。

ジュピターもすぐさまことの重大さを察知したのか目を凝らし、じっとあたりを見回した。タイガーとフレイジャーはジュピターの足元で震えながらうずくまった。

村の様子が気になったユージンは、しばらくして弟と妹にしばらく家で待つように言い聞かせ、ジュピターを連れて家を出た。「まだ傷ついた誰かがいるかもしれない」と思いながら、村のあちこちを見て歩いた。村は焼き払われた家が煤ぶっていて焦げ臭く、盗賊達と戦って殺された男達があちこちに遺体となって転がっていた。

それらの死体を引き車に乗せ、村人達が村の中心にある古い寺の境内に集めていた。境内にはすでに多くの遺体が並べられていた。どの遺体も血で染まっていた。生き残った兄弟や親族が泣きながら遺体に伏せていた。中には小さな子供達の姿もあった。

 

(その二)

ユージンは幼馴染の仲間の安否が心配になっていた。まず最初に思ったのは親友のトムの家族だった。彼は急いでトムの家に向かった。

彼の家は村を流れる川に沿った小高い丘の上にある。丘の上には三軒の住居があったが、そのうちの一軒は火が燻っていた。盗賊達が火を放ったようだ。トムの家は火の気はなかったが静まりかえっている。人気のない家のなかに飛び込んで目を凝らすと、めちゃくちゃに荒らされた母屋の様子が目に飛び込んできた。家具は壊され、陶器の破片が割れて散らばっている。

消えそうになっている暖炉の火が辺りを照らして揺らいでいる。その先の薄暗くなった家の隅に目を凝らすとトムが伏せていた。トムはどうやら無事であったが、彼は冷たくなった血だらけの両親を抱かかえるように泣いていた。

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