【前回の記事を読む】詩集「星間通信」より3篇

つぶれた惑星

こんばんはマゼランさん

皺くちゃのパナマ帽なぞかぶって

どちらへ?

 

ちょっとそこまで

ここにいるのも疲れてね

奇妙な名まえの演奏バーが

そこの四つ辻にできたんで

一杯ひっかけにね

 

たまにはどこからか

ふと現れてくる

髭づらの大男が奏でる

気ままなサクソフォンでも聴かないと

こんなつぶれかかった生活じゃあ

心も

真っ暗になってしまうぜ

 

ところで

かぶってきた帽子がなくなったもう酔っているのかな

おやおや

足もとがふらついていますよ

 

こっちは

これからかえりです

といっても

うすぐらい街かどを突っ切って

夜の水族館atlantisにまぎれ込んでいるかもしれません

まったく

ばかげたことですが

神聖なくらいに……

じゃあマゼランさん

さようなら