自然治癒力増強剤

相談の結果、漢方の煎じ薬を処方してもらうことになった。どうやら漢方薬は煎じる方が効果があるらしい。煎じ薬なんて初めてで、うまく作れるかどうか、また、毎日煎じて飲むなんてできるのか不安だったが、とても簡単だ。

雪平鍋(ラーメンを作る鍋)に定量の水を入れ、多種多様な生薬が山盛り入った袋を8分間煮出すだけだ。「味が苦くて飲めないのでは?」と心配したが、何だかおいしい。温かいうちに飲む方がもっとおいしい。

漢方は自分の症状にその薬効が合致する時、「おいしい」と感じるらしい。「おいしくない」と感じる時は、その漢方薬が自分の症状に合っていないという評価ができるそうだ。

いろいろと漢方薬に触れる機会も多くなったが、つくづく漢方薬の世界は奥深いと感じる。漢方薬というか生薬は、ごくごく身近に自然に存在する草木や昆虫などから作られている。いにしえの時代から長い歴史を経て現在に至るまで、選び残された生薬は私たちが本来備えている自然治癒力を活性化するのに効果を発揮するそうだ。

まさに今の抵抗力も体力もない私にとっては、体内の恒常性を正常に引き戻してくれる自然治癒力が必要だと思う。通常、漢方薬はゆっくり時間を掛けて体内のバランスを改善してくれるが、一方で、すぐに効く即効性があることも初めて知った。

私は、夜中に下肢のこむら返りを起こし、のたうち回ることが少なくない。漢方の先生に相談して処方してもらった芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は凄すぎる。

通常ならこむら返りの後、翌日は片足を引きずって歩かなくてはならないほど痛みもダメージも大きいのに、芍薬甘草湯を発作後にすぐ飲むと、不思議と全く痛みがなくなる。翌日も痛みは残らない。長年、為すすべもなく苦しんできた症状が一つ、漢方によって完治するのを知った。

煎じ薬はおいしいが、こむら返りのように瞬時に私の病苦を消し去るような薬効を堪能できるものではない。ひとまず、ゆっくりと時間を掛けて自然の力を借りながら副交感神経を呼び覚ますことになりそうだ。

この「漢方薬」との出会いによって、私は副交感神経を蘇らせるリハビリ計画に光を見いだすことができた。