そうすれば資金援助を受けた政治家は当選すればたんまり援助してくれた組織の利益になる法律を作ってくれる。17世紀のエリザベス王朝の著名なメンバーがよく言った言葉に「勝利者が歴史を作る」というのがある。

このような金融と企業の巨人に対抗するのが、純粋で研究に没頭する科学者なのだ。私たちはどう猛であれと教わったことがない。勇気を学ぶ大学院のコースなどもない。私たちは実験室の手順のルールに従い、得られた生のデータを信じるように指導されてきたので、たとえ理解できないデータであってもすべてのデータを報告するのだ。

科学の道を歩む者は弁護士のあり方を見習うべきだと思うことがある。弁護士と話していると、彼らは知的闘争を楽しんでいることがよく分かる。彼らは立ち上がり、社会で最も嫌われている人物を弁護する。

それはその人物が本当に無罪だと信じているからか、あるいは判断を下す前にある一定の手続がなされるべきだと考えるからだ。

フランクはこのような知的闘争の面白さを教えてくれた。フランクの考えでは、もし科学のやり方に従うなら、科学者には研究成果のデータを死に物狂いで守る義務がある。フランクと仕事をする場合、彼にデータを見せる前にあなたはデータをチェックし、再チェックし、更に 3 度目のチェックをする必要があるのだ。

ある時ある同僚が私たちに「科学論文を発表するとき、一番重要なデータは実は公表しないんだよね」と言ったが、この発言にフランクはカンカンになって怒った。彼は「最高の論文とは回答できないくらい、読者に多くの質問をさせる論文なんだ」とよく言ったものだ。

2009年10月 8 日にサイエンス誌に発表した私たちの論文には、当時私たちが理解していなかった部分も含めてすべてのデータを公表していた。この論文のせいで私の研究者としてのキャリアは終わってしまったが、今日現在でもこの論文は真実を語っている。

法曹界の人々は猛々しくあれと教育される。フランクが私を弁護士のように猛々しくなるよう教育してくれたことに感謝している。

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