迷いながら揺れ動く女のこころ

「会社の経営にも戦国時代の武将の生き方や判断が参考になると、好んで歴史書を読む経営者が多いと聞くよ。先を見る目や今決断する時に、生きるか死ぬかの間に身を置いていた武将たちの判断力が役に立つと言われているし、家庭内でも大げさかもしれないけど妻の立場で決断する時に参考にもなるのよ」

「花帆は戦国時代の生活に詳しいのね」

「小説の上っ面だけをなぞっているだけよ」

「小さなことかもしれないけど、今の生活でも、日々判断をすることが多い気がしている。何か難しい話になってきたね。でも今日は皆に話を聞いてもらったしアドバイスも頂戴したから、これからは新鮮な気持ちで立ち向かえそうだわ。来週からフィットネスにも通って体の中の毒素を汗で流すね」

美代子は店内の時計を見て「あら、もうこんな時間よ。いつの間にか時間の経つのを忘れて話し込んでいたね。子供たち、大丈夫?」と花帆と結衣に聞いた。

「心配しないで」と結衣は微笑みながら返した。そして「今度会う時、美代子のフィットネスで変身したスタイルを拝ませてもらうわ」

「私も半年後ぐらいの変化に期待している。かえって運動した反動で食欲が増して太っているかもしれない」

三人は「割り勘にしようね、その方が面倒が無くてレジの人も助かるからね」という花帆の発案でまとめて会計を済ませて駅の改札までの短い距離を、おしゃべりしながら歩き出した。

*

秋の気配が深まって来た感がする。街路を歩いていると茶色く色づいた落ち葉が散乱していて、風に寄せられて道路の端に重なった落ち葉を踏みしめると「シャキッ」とした音がした。

この季節に特別な思い入れはないが、ふと庭木の手入れを思い出していた。花帆や結衣たちと別れて家路に向かっていた美代子は、明日から始まるフィットネス通いにどんな服装がいいか思案していた。