夜を駆ける――不倫発覚前半――

通電してみた

なかなか良くならないうつ。自分に嫌気がさし、家族にもこれ以上迷惑をかけたくないと「無けいれん性通電療法」(ECT)を受けたいとイケメン先生に相談した。怖かったけど、この治療で元の私に戻りたかった。とはいうものの、元の私がどんなだったかも、もう思い出せない。

1938年以降、改善率が高く、安全性の高い治療法であることが知られています。近年では患者さんの不快感と骨折や脱臼の危険を回避するため、麻酔下での療法が行われるようになっています。治療回数は1週間に2~3回の割合で朝食前に、手術室でけいれんを確認するための電極をつけ、麻酔薬で眠ったところで筋肉を弛緩する注射を静脈にうち、マスクにより酸素を与えられます。

数秒間脳内に電流が流れます。本来ならばけいれんが起きますが、筋弛緩薬の効果でけいれんは起こりません。けいれん発作に伴う、不安も苦痛も生じません。この間30分程度。治療試行回数6から10回程度が一般的です。治療前後の数日から数週間の記憶が抜けることがありますが、時間とともに回復するのが通例です。

以上が「無けいれん性通電療法」の説明をお聞きしました。

追伸

結局、治療は5回目で中止になりました。先生に毎日、日記を書くことを勧められましたが、記憶が(一時的な記憶喪失)抜けるので日記を書くこと自体忘れてしまっていました。中止の理由の説明を受けたのですが、その部分の記憶も飛んでいます。私なりの解釈だと、治療中、私の脳は落ち着きがなくなってけいれんが起きたようで、なかなかけいれんが止まらなかったようです。

だから、今でも時々脳がけいれんしている気がします。退院して家に帰ったら、どこになにがあるのか、記憶が飛んでいて家中探検しました。

その治療の時の日記らしき紙が見つかりました。一回目の治療の後、首と腰が痛かったようです。手元の資料を見返してみました。この治療は10年前に受けたものです。現在では「TMS:経頭蓋磁気刺激」が注目されているようです。

映画 閉鎖病棟

昨晩、「閉鎖病棟」という映画を観ました。色々な閉鎖病棟の映画を観ましたが、私がお世話になった病棟は「酔いがさめたら、うちに帰ろう」の映画が一番近いような気がします。初めて観た時、懐かしさと笑いと、涙が知らないうちに流れる。確かにあの空間は、守られていた気がする。何から守られていたかは、いまだに分かりません。でも、負の思い出ではありません。

追伸

これから少し最初の入院の思い出を書いてみます。一番驚いたことは、ヘアードライヤーを取り上げられたこと。陶器のマグカップ、ライターなど、それは自傷行為、自殺防止のためらしくヘアードライヤーのコードで首つりの恐れがあるのでと説明があり、そういう方法もあるんだと新しい発見もあった。

私は、フェイスタオルをトイレのノブに結んだら死ねるかもと考えていました。