⑤EGAMI 小説/カイユが見た夢の続き

ラムカは気が付くと手首は縄で縛られ牢屋の中にいた。柵の前には、地の国の兵士が数人と、黒い軍服を着た上官らしき男が背を向けて立ち、魚のお面を被ったラ・エンカと話をしていた。部屋の脇には、カイゼル達が縄で縛られ座らされているのが見えた。

ラ・エンカは、地の国の上官の男に言った。

「約束だ。その少女はあんたらに渡そう。だが何故、水の国でもない地の国が人狩りをする? この少女は、一体何者なんだ?」

「水の国が人狩り? さぁて? 私はそのような噂は聞いた事がないが……。それにこれは、人狩りではありませんよ、取引ですから……」

「辺境の雲海にカーに襲われた小島がちらほらあると聞くが、雲海を渡れない筈のカーが現れるとは妙だと思わないか?」

「それはおかしいですな。ただ……、あまり深入りすることは、お勧め出来ませんね。命の保証が持てなくなるかも知れませんから……」

「それは脅しか?」

「いえいえ、そんな。ただの忠告ですよ」

上官の男の冷たい声を聞き、ラムカは何処かで聞いた気がした。その直後、イムフラの顔が頭に浮かび、トミがカーに襲われた場面を思い出し、体が固まると同時に怒りで体が震えた。

ラ・エンカは上官の男を怪しく感じ、地の国の兵士から約束の報酬の金が入った小袋を受け取る際に、小さな蜘蛛を兵の腕へ這わせた。そして更に、ラ・エンカは自分の部下に目くばせをすると、部下は、一匹の蜂を自分のポケットから出し、目の前にいる地の国の兵士のポケットへ飛ばし忍ばさせた。

ラ・エンカは、部下に鍵を開けさせると、ラムカを牢屋から出しイムフラに渡した。

「やっと会えましたね……。探しましたよラムカ君……」

イムフラがそう言い彼女を受け取ると、うつむいていたラムカはイムフラの顔を見るや否や、突然、彼の腹に頭突きをくらわし倒し、次にイムフラの腰ベルトに掛けていた拳銃を奪い、彼の頭に銃口を付けた。周りにいた誰もがあまりの一瞬の出来事で反応出来ずにいた。

ラムカは、近くの地の国の兵士に向かい、ナイフを床に滑べらし渡すように要求し、ラムカはナイフを受け取ると手首の縄を素早く切り、カイゼル達の縄を切るよう兵士に向け更に要求した。だがラムカの背後から兵士の一人が近付き、ラムカが握る銃を蹴り上げた。銃が宙に舞うと兵士はラムカの腹部に蹴りを入れ、ラムカは倒れ床にうずくまった。

MONDO 襲撃

そこまでベルサが読んだ時、カイユは突然、めまいに襲われ頭を下げる。次に顔を上げた時、公園の入り口に近所の少年らが、自分に向かい指でさして立っているのが見えた。少年らのかたわらには、背が高く、やせた若い男が立ち、カイユと目が合うと走って向かって来る。男がカイユに近付くと、そのままカイユが持っている本を奪おうとした為、カイユは両手で本を掴んだ。