⑨EGAMI イムフラ

ウミガメ輸送機

その頃、ラ・エンカが乗ったウミガメ輸送機では、野生のカーが甲羅の縁にぶら下がり始め、甲羅の上にも何匹も野生のカーが乗っていた。ラ・エンカが炎で追い返していたが、彼女の背後から野生のカーが飛び付きラ・エンカは甲羅の屋根に倒れ、野生のカーが四つん這いに覆い被さった。

彼女に助けられた囚われの身の者達がラ・エンカからカーを離そうとすると、カーの触手が伸び、鞭のように辺りに振り始め近付くことが出来なかった。カーは一本の触手をラ・エンカの耳に入れ始める。

その時、何処からか歌が聞こえてくる。綺麗な歌声はワニの体内で響き、辺りは静まっていく。全ての者達がカーまでも、しばし動きを止め聞き始める。そして何処からともなく風が吹き始め、歌声が風になり更に隅々まで運んで行った。

『みんな帰ろう』

カイゼルは野生のカー達の声が聞こえた気がした。ワニの体内にいたカー達は一斉に口に向かい出て行く。辺りに静寂が戻り、カイゼルはラムカがウミガメの荷台の甲羅の上で倒れているのを見て、抱き抱える。

(あれは……、ラムカが歌っていたのか?)

ウミガメはワニの口へ向かうと少し開かれていて、無事に外へ出る事が出来た。上空から見下ろすとワニの口元に陸ガメが立っていたが、大きく感じた陸ガメもワニと比べるとワニの手のひらより小さく、いかにワニが巨体なのかを物語っていた。その体は多くのカーに記憶を吸われ、箇所箇所がなくなっているのが見えた。ウミガメとトビウオは雲海へ向かうと待機していたサメ軍艦の口内へと帰還する。

 

イムフラは外へ出ると、巨体なワニの横たわった姿を見ながら、ラムカも大幻透視師も失い落胆し地面に膝を落とした。

幻透視師

地の国から離れる中、ラ・エンカは、軍艦内で老婆が地の国の大幻透視師であり、イムフラにより監禁されていた事を御付きの二人の女性から聞いた。