【前回の記事を読む】企業倒産に動揺するなか差し込んだ一筋の光明「オーナー集いの場」とは?


第2章 とんでもないことが起きた!! 事の顚末と悲劇にこうして向き合った!!

第4話 暗闇の中に一点の光が見えた

A社倒産後、一連の混乱もようやく落ち着いてきた頃、村上氏から連絡があった。彼に聞きたかったことが山ほどある。一刻も早く会い話がしたいと申し入れた。

彼は今、自分が販売した全国に散らばるオーナーに対し、とにかく落ち着き、冷静に保有物件を維持するよう各オーナーを訪ね回っているとのことであった。直接こちらまで伺うことがなかなかできないため、別の担当の石山氏を伺わせるとの約束を取りつけることができた。後日、お会いし、現在の状況と今後のことについていろいろ話を聞くことができた。

A社倒産は、一部の役員しか知らなかったこと、多くの社員は突然解雇され、挙げ句に会社は倒産。会社の業績も好調だっただけに、多くの社員にとっては夢を砕かれることとなり、社員の進退は実に様々だったようである。村上氏も心労が重なり体調を壊し、長期間の療養を余儀なくされたとのことであった。回復した今、全国に散らばる販売した顧客の元を回り、今後の対応の説明を行っているとのことであった。

村上氏と石山氏のように、自らが販売した物件購入者への対応という動きをした元社員は稀だったのではないだろうか。

とにかく、物件は存在しており入居も付いているのだから、今は根拠のない不安は持たないようにすること。物件はD社が管理することになったので、管理組合を通してしっかりと物件の資産価値を維持していくこと。D社は、福岡を中心に物件管理を担ってきた会社であり、これを機会に事業を拡大していく方向にあるためオーナーと対立するような管理をしていくことは考えにくいので、今は、連絡を取り合うことを大切にしてくださいとの助言をいただいた。

また、賃貸管理については、信頼と実績があるということで村上氏に紹介していただいた(株)E社と契約を結んだ。「オーナー集いの場」を通しての学びと村上氏や石山氏との関わりで、A社倒産後の様々な情報が重なり合い、現在の自らの立ち位置を冷静に、かつ客観的に把握することができたように感じた。

今後、3つの物件のオーナーとして、物件の資産価値を維持し、長期的には価値を高めていくことが必要であることを確信した。私の居住地が福岡から遠く離れていることもあり、立場的には個人としての動きになってしまう。同じオーナーとして共に考え、行動する仲間の大切さを改めて感じた。

このことについては、村上氏や前述の上司とのつながりから、以後大切な仲間となる方々を得ることができ、また、「オーナー集いの場」事務局より、同じ物件を所有している田中氏を紹介いただいた。A社倒産のあと途方に暮れていたが、人とのつながりの中で不安が次第に軽減されていることを感じることができるようになっていた。