そんな現実逃避まがいの思考で、俺は貪欲にそれでも嫌だと必死に抗った。

「(何か、ホントに何か、何もないのか……⁉)」

このまま何もしないで祈り続けるよりは、可能性にもよるが現実的な蘇生方法を試してみるべきだ。しかし中学生に蘇生術なんて分からない。いやだからこそ、今の俺にしかできない、さっきまで幾度も使った、この能力で……!

思い返せば、この力はこれまで幾つもの奇跡を起こしてきた。この光の力を使えば、奇跡が起こるんじゃないか? そう考えたら、いてもたってもいられなくなる。

まず平地にゆっくりと優しく静置して、彼女の胸に赤黒く(わだかま)る傷口に両手を重ねる。そうすると両肘につけられた籠手(こて)がゆっくりと光り出す。どういう構造でどんな原理で出来ているかさっぱり分からない。仮定すら立てられないし、具体的な根拠もない。それでも、この方法を即座に実行したのは、今の俺はそれに頼るしかなかったからだ。

「(……頼む‼)」

両手にありったけの力を加えて徐々に赤黒い塊に、流出した光が密集していき、それが輝き出す。そのまま俺は全神経を集中させ全力を注ぎこんだ。それは、意識が薄れるくらいのエネルギーの浪費を要するもので、自分の体を構築しているこの外装もそれに比例するように薄れていくのが分かった。

「……ああああああああああ!!!!」

数分、もしかしたら数秒の間だったかもしれない。最後の喘ぎ声を最後に、俺は遂に力尽き横に倒れた。しかし、それは諦めではなく、達成感からきたものだった。俺の視界に映った彼女の瞳には、明白ではなかったかもしれないが俺を捉え、「……レッカ君?」という薄れた声をあげた。それが、俺が認識した最後の光景だった。

何の根拠も無かった俺の蘇生法はやがて奇跡を生むことになった。結果的に奇跡が起こり、ルナ姉は意識が戻る程に回復し、無事救助されることになった。

その後は……、分からない。ただ分かったことは、俺の体が意識を無くし倒れる時に、無事人間体へと変わったこと。それと、瓦礫が散乱した場所で横になるのは到底居心地の良いものではなかったことだ。

【前回の記事を読む】「ち、違う!」ようやく来た救援隊に、自分も敵と認識されて⁉