プロローグ

潰された都市、久禮(くれい)市。

この都市は昔、突如現れた「憑依生命体」と呼ばれる怪物たちに潰された。

彼らが現れる度、そこは戦場と化し、彼らは人類の武力を瞬く間に無力化していった。

しかしそこに、二人の「英雄」が立ち上がった。

一人は天才最強の名を欲しいままにし、飄々とした性格でお調子者であったが、戦いの場になると、目の色を変えその姿は周囲を強張らせたと言う。

もう一人は、彼によれば運命さえも変えられてしまうといった噂がある程、偉才を持つ俊秀(しゅんしゅう)であったが、その存在は敬われる以前に暗殺を職としており、皆から「死神」と呼ばれ恐れられていた。

彼らにより「憑依生命体」は何度も撃退され、安泰を誰もが望んだ。

しかしそんななか、最上級である「上位の憑依生命体」が、決着をつけるかのように現れた。

二人は共に全力を出し合い、その実力は均衡していたが、その勝敗はすぐにはつかず、「上位の憑依生命体」を退かせることには成功したが、その英雄たちの身体は現世に留まることを許されなかった。

……それから約数十年後。

その決戦は、まるで無かったかのように皆の記憶から消え、その土地には過去の惨禍が疑わしい程の都市として発展した街並みが並ぶ。

しかし、その怪物は時を経てまた復活を果たし、

脅威を晒すかの如く、殺戮を生み始めていた……。