大事故にあう

私の50年近い運転歴の中で唯一大事故にあったのもこの車であった。

昭和55年の秋、私は国道14号の靖国通りを両国方面から神田方面に向けて順調に走っていた。いつも走っている通りで、信号のつながりも頭に入っている。岩本町のこの信号で止まらなければ須田町まで一直線! 信号の手前でアクセルを踏み込んでいた。

そして、昭和通りとの大きな交差点に入った時に前を見ていない対向車が右折してきた。もろに直進の私の車と衝突した。私のダブルエックスは交差点の中で水平に1回転した。

何が起きたのか一瞬わからなかった。こちらが直進なので、すぐに飛んできた交差点近くの交番の警察官もほとんどを相手の過失として処理した。それは当然のこととして、車は前部分が大破してボンネットも閉まらなくなった。

かなりの時間をかけて修理をしたが、その後直進している時にステアリングを取られてまっすぐに走れないような状態になり、気持ちが悪くて車を代えることにした。

最後は思いもよらぬ別れになってしまったが、それでもこの車とはいろいろな思い出があり、現在の私のキャッシュカードなどの暗証番号は全てこの車に付いていた4桁のナンバーにしている。

世界中誰一人として私の使っている暗証番号の由来を知っている人はいないし、誰にも話してはいない。私とダブルエックスとの永遠の記憶である。