エッセイ 人生論 日本 人生哲学 2023.05.27 「徳」は孤独なものではなくむしろ、人と人との関係の中で。 燕雀安知鴻鵠之志哉(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや) ―史記・陳渉世家― 写真を拡大 燕や雀のように小さな鳥には、鴻や鵠のような大きな鳥の志は解らないということ。つまり、小人物には大人物の志はわからないという意味です。 『史記』に登場する秦国滅亡という大志を抱いた〈陳渉(陳勝)〉(後の楚の王)が言った有名なことばです。身分や家柄に囚われず、大きな志を以て実力で大位に伸し上がった陳渉の生き方は、時を超えて人々に大きな勇気を与えてくれます。胸を張って人生を生きて行きたいものです。
小説 『毎度、天国飯店です』 【第6回】 竹村 和貢 サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。 天国飯店の定休日は毎週火曜日。アルバイト生四人で、月曜から土曜の間の五営業日を分担する。四人のうち誰か一人が二営業日に入る。その者以外の三人のうちの一人が日曜日に店に入る。日曜日は大学が休みなので、朝の十時から閉店の午後九時まで十一時間店に入ることになる。「ほな、俺、明日もバイトやさかい、おっちゃんに自分のこと話してみるわ。多分、おっちゃんも構へん言わはる思うねんけど」夏生は、「できない」とは思…
小説 『彼のために人を焼く』 【第14回】 暮山 からす 一様に目撃者が証言する「ツキシマツバサ」この火事は事故なのか事件なのか? 「そうだ、その人叫んでいました」「叫んでいた?」「ええ。ツキシマツバサがどうとか」「ツキシマツバサ?」顔を曇らせた。行沢は聞いた名前をメモに取っている。「その名前に心当たりはありますか」「いいえ。知りません」それから通報者に何点か話を聞いたが、特段おかしな様子はなかった。他の住民も同じような証言だった。矛盾点や食い違いは見られない。みな一様にツキシマツバサという名前を聞いているが、その存在は知ら…