明くる朝、御飯の支度をしている母に(高血圧のため家から出掛けることは殆どないが、食事はなるべく作るように頑張ってくれていた)猫の事を聞きたかったが、わずらわすのも何だから、やめておいた。

私の通っている水野中学校は創立の古い学校である。田舎の学校なので周りに住宅があるが、そのすぐ後ろは森や林だらけだ。

そして私が住んでいる鹿乗(かのり)(ちょう)は忘れ去られた町だ。学校まで自転車で三十分くらいかかり、森や林それに多くの畑を過ぎると学校が見えてくる。

そして何と、学校の南前方彼方に突然巨大大型スーパーM.S.C(モスコ)が現れる。なーにも無いところなのに特大の駐車場もある。ホント変な所だ。

そして朝、怪異に巡り合った昨日の今日である。授業を受けていても何だかそわそわして窓の外を凝視してしまう。

この時期、涼しい林の中で猫は寝ているのか、はたまた家々の軒下、風の良く通る所で朝寝&昼寝をしているのだろうか、昼間の畑は目立ちすぎるから行かないはずだ。どこに居るんだろう――。

何やかんやと、猫の事ばかり考えて一日を過ごした私だった。

学校から帰ると早く夜にならないかとばかり思っていた。

夕飯の後片付けの手伝いも終わり、落ち着かない気持ちを抑えながら、少ししてから畑に行ってみた。

――居ない! 涼みがてら様子を見ているが……あぁーやっぱり来ないか? ――帰ろぅ……

仰ぎ見る空に降るような星が瞬いている。

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