第一章 不思議な出会いからの始まり
五日目にはあれは何かの間違いだったと思うようになった。それでも六日目七日目と行き続けるのは夜出掛けるのが習慣になったのか、はたまた私の変な物に拘る性格なのか。
九日目、明日で十日目だから止めようと思いながら歩いていると……居るねぇ！ 猫が畑に……今夜はトマトを食べている。
少し近づいてみる……頭を上げてこっちを見たようだが、食べるのを止めようとしない。
もう少し近くへ行ってみる……トマトを食べ終わると顔をこっちに向け私を見ているようだ。そして突然、
「ベジタリアンなんだ、俺って」
頭の中に響き渡る声？
「しゃ、しゃべった、猫が？」
いや、頭に閃いたと言うか、聞こえた。えぇっ、どういうこと、どうなっているの。本当に猫が？ いやあり得ないあり得ない……
うあぁっーこっち近づいてくる！
「しつこいんだよ。毎晩見に来るなんて」
光る目で凄まれたー
「ば、化け猫だー！！」
「おい、静かにしろ！ 化けてねぇだろ」
「……確かに……じゃ何で頭の中に話し掛ける事が出来るの？ 宇宙からの謎の生命体が猫の中に侵入し地球侵略を目論んでいるとか、自分達の家来にするために猫に姿を変えて近づき洗脳しようとしているとか！」
「何訳のわからない事を言ってんだ。野菜食っていただけだろうー だいたい俺は昔から……そうだなぁ古墳時代くらいから、ここに住んでいたんだ。その前の記憶は残っていないから知らない」
「……古墳時代って何よ！ 訳わかんない。とにかくしゃべれるなんて普通じゃない……やっぱり侵略だー」
「落ち着けよ、それに大きい声出すな。頭で考えれば聞こえる……話が長くなるから、ひとまず家に帰ろうぜ、母親に心配掛けたくないんだろ」
猫はそう言いながらこっちを相変わらず見ている。母親のことまで何で知っているんだろうと思っていると、また猫の声が頭に響く。
「お前しつけーから話しとくよ。じゃお前の家行こうぜ」
そう言うと猫が私の前を歩いて行く。猫に付き従うという形で家に着いた。
こっちを振り返り「部屋の窓、開けとけよ」と猫に命令されたーーー！
