第二章 伝統的テコンドーの三つの要素

型の象徴的意味

型の動作を一つひとつ正しく理解することに加えて、生徒はその象徴的意味を学んでいく。型は、韓国の歴史における重要な出来事や人物を象徴的に表している。そして型の名称の多くは、百済、高句麗、新羅から成り立つ三国時代(五七︱六六八年)の英雄から付けられている。

演武線、動作数、順序、終わり方などの型を構成する全ての要素には意味があり、一つひとつの型に意義をもたらす。伝統的テコンドーの型について、以下簡潔に説明する。

(一)チョンジ(漢字表記:天地)(動作数19)

「チョンジ」とは、文字通り「天地」という意味を持つ。この型は世界の創造や人類の歴史の始まりと解釈されているため、初心者が学ぶべき最初の型とされている。

この型を構成する二つの動作はよく似ており、一つは天を(中段外受け)、もう一つは地を(下段外受け)象徴する動きとなっている。この二つの動きは、陰陽の動作による二次元的宇宙の創造を象徴している。

また、その演武線(+)は、全方位を等しく示し、韓国の国旗(太極旗)を象徴的に表している。この型では、基本的な動作と構えを取ることから、他二十三種類の型を理解する上での基礎ともなる。

(二)タングン(漢字表記:檀君)(動作数21)

この型は、神聖な檀君王倹の名にちなんでいる。この人物は、韓国初代王国、古朝鮮を建国したと伝説上言われている。檀君王倹の統治は、紀元前二三三三年に始まったと推定されている。

彼は、神の恵みにより女性となった熊の息子であると言われており、山の上にアサダルという都を定めた。檀君が登頂に成功したことを象徴して、この型の突きは全て高いところを狙っている。

(三)トサン(漢字表記:鳥山)(動作数24)

トサンとは、愛国者、安昌浩(アン・チャンホ、一八七六―一九三八年)の雅号である。彼は韓国出身の独立運動家であり、アメリカの韓国系移民コミュニティにおける初代リーダーの一人であった。

一九〇二年、アンと彼の妻はさらなる教育を求めてアメリカへ移住した。そしてアメリカに滞在中、彼は韓国人のコミュニティで大いに活躍し、一九〇三年には友好協会、一九〇六年には相互援助協会という二つの組織を設立した。

しかし、アンの一番の関心は、自国の教育改革と学校の近代化を行い、国民の意識を高めて社会制度を改善していくことであった。そして一九〇七年、韓国に帰国後に結成した新民会は日本の韓国占領に抵抗する最も重要な組織となった。

アンは、韓国独立運動で見せたその愛国心と活動によって、日本政府に五回以上も逮捕されている。この型は、国民に対するこうした彼の献身に名誉を与えている。

※本記事は、2020年5月刊行の書籍『人の道 伝統的テコンドーの解釈』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。