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第1章 それは適応障害なのか

年寄りの感想もしくは愚痴

笑い話ではありませんが、入社後の研修で課題を伝え指定時間が過ぎたので行ってみると、できていない。どうしてできていないのか聞くと「ちゃんと教えてもらわなかったので、できませんでした」と答える。「ボク、ほめられて伸びるタイプなんです」と、今のところ何ひとつほめるところはないのに先手を打つ。

そうかと思うと、何か言ってもすぐ怒る、不機嫌になる、権利は行使する(行使してもいいのだけれど)。急病などでなく突発休(突然当日になって休むこと)を出しても「年休は権利ですよね」。お金にもはっきりしている(いや、いいのだけれど)。「〇月〇日からバス代が10円上がりますが、いつお給料に反映されますか?」。仕事の内容というよりも、働くことに対する自分の感情や損得に敏感な感じがします。

大きく分けると、思っていることや意見がなかなか言えず周りを気にするセンシティブなタイプと、はっきりモノを言って周りを気にしないアグレッシブなタイプに分かれるかもしれません。どちらにしても仕事に適応できない要素を含んでおり、年寄りからすると(いやーいいんだけどねー)と思いつつ、よく理解できない事態です。

いつの時代も年寄りは「今の若いモンは~」と文句を言います。しかしどうもその感触は少しずつ違ってきているようで、仕事をする姿勢というよりも仕事をする人自体のカラーが違うようです。センシティブなタイプにもアグレッシブなタイプにも共通しているのは、仕事そのものに対する反応ではないということです。

「若いのに仕事のやり方に文句を言う」とか「自分の考えを主張する」とか、言い方が悪いとか割り切りが早いとか仕事をきっちりしないとかPCの使い方で年寄りをバカにするとかではないのです。

仕事の内容というよりも、どうも仕事をすることで、自分の内側にもたらされる反応によって左右されているという感じです。そのため年寄りはよくわからないのです。感触としては、仕事以前のことのようです。

そうは言っても、若者が一方的に悪い、おかしいということでもありません。確かに現在は労働環境も悪くなっているのでしょう。働き方改革などで何とかよくしようとしているのでしょうが、経済成長も頭打ちですし、労働人口も減ってきており、昔のように丁寧に教えてもらえないまま現場に出されることもあるでしょう。

非正規社員はつらいし、かといって正社員も何でもしなければならずつらい。労働時間も思うように短くならないしお給料も上がらない。若者はそんな中に放り投げられたようなものです。働くことがすべてであったような時代がよかったということでは決してありませんし、もうそんな時代は来ないでしょう。今後の経済や労働環境、社会もどうなるかわかりません。

しかし少なくとも、働くことは人間から切り離せません。これからは働くことそのものについて考えていかないといけないのかもしれません。