梅雨の間に

樹間をとおして淡い光が

濡れた山道にはかな気にただよう

梅雨のあい間のつかの間の天気

遠くの山も紫色にかすんでいる

山の斜面に大いなる木の立ちて

ほこらかに他を圧し枝をのばす

だがそのそばに見よ!

それにも負けぬ大いなる木の朽ちいて──

我が心の中を示すがごとく

無様に虫食われたぼろぼろの身をさらす

数百年を耐えたる後に見よ、あの(ざま)

突然鶯がケケケケケケ・ケキョ・ケキョと鋭く鳴く

()(ひと)からの便りは未だ無い

あの一夜は何だったのだろう──