はじめに

(1) 誰も知らない『幼学綱要』、『幼学綱要』って何?

この『幼学綱要』の名前をどのくらいの人が知っているでしょうか。私も数年前までは知らなかった本です。

しかし、元田永孚(もとだながざね)と聞けば、ご存じの方も多いと思います。明治天皇の侍講として20年以上もお仕えして「教育勅語」の起草に関わった先生です。

この『幼学綱要』も元田永孚らによって編纂されました。

なぜ、この『幼学綱要』が今では誰も知ることのない一冊の本となってしまったのか。私はそこに戦後の闇があるのだと考えています。修身教育、日本人の道徳を育てる教育などには大きな蓋がされたと思っています。

昭和初期頃までは多くはありませんがこの本の解説書などが出版され、今でも古書として残っています。

私も、この本を読む上で数冊の解説書を参考にしました。

そして、編纂から140年経った今、誰もが読めるように全ての原文を現代語訳しました。

もう、二度と、この本を世の中から消してはいけないという強い想いで取り組んでいきました。

この本を読めば必ず日本を知ることができます。子供の徳育には「究極の一冊」です。明治天皇が詔を出されてまで日本に広めようとした本です。さらに日本人の心についても知ることができます。

日本人が大事にしてきた学問や学びを理解できると思います。そして、戦後に大きく変わってしまった歴史の逸話を知ることができるでしょう。