【前回の記事を読む】作品集「黒い花Ⅱ」より三作品

若き葉の光に

心地良い日射しがさしている

さわやかな風が吹いている

秋の長雨の後の気だるい昼

軽い頭痛と共に庭に立っている我

追いかけられる仕事に疲れ果て

詩情など吹き飛んで行く日々

今、獣が傷口をなめるように

日射しで心を暖めている俺

黒緑の椿の葉の中に

今年生えた若い葉が数枚

日をあびて照り輝いている

若き日の燃ゆる思いも恋も

生きる流れにとり落し来て

若き葉の光に呆然としている我