昔と同じ──

夕焼けの空に黒い雲が流れ

遠くの山が灰色にかすんでいる

そしてその前に寒々と黒い樹きぎ木が──

幼き日の夢とおそれとそして喜びと

公園の木が黄色く彩られ

街並みの桜の葉が赤茶色に染まっていく

幼い子が鉄棒でくるりと廻った

少年の日のあこがれと性とそして悲しみと

川の向こうに青く山が連なっている

空は淡い紅色(くれないいろ)そしてまだらなブルー

若き日のあせりと自尊心とそして絶望と

幾つになっても抜け出せない迷いのままに

もうここまで来てしまった

故ふるさと郷に似た空に背を向けて街の灯に向かう──