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第2章 いけ花と私

講習会

講師の話に耳を傾けながら、興味津々で講義を受けます。今度はもう少し上手にいけた花を、机の上に飾ってみようと思いながら……。午後からは実際に花をいけて見せてもらいました。またなんと素早く見事な花がいけられていくのでしょう! 私もそんなふうになりたい! 

人に見せられるような花を素早くいけてみたい。そう思わずにはいられませんでした。講習会で学ぶことによって、いけ花は日本の伝統文化であること、華道という道のりがあることが、徐々にわかっていきます。

島国の日本は独特の文化が芽生えました。それを日本文化というのならば、環境としての文化があり、その恩恵を受けて、成長してきたことを感じなければいけないのだろうと思えてきます。

1年に1度の講習会ですが、毎年、新しい花の流れを教えてくれます。基本的なことを、学ぶことは当然のことです。その年その年の流行があるわけですが、基本の形からの変化ということになります。だからこそ、学ぶ時間を大切にしたいと思えてくるのです。そうしてやがていけたい花がいけられるようになる。そう信じて、ずっと続けています。

ずいぶんと気の長い話ですが、一瞬一瞬のつながりで続いていることに気づかされています。暮らしのなかに根付く花を、今、さりげなく机の上にでも、いけられるかなあ……? 私の小さな空間も良い香りに包まれて、幸せな生活の一端を感じられているかな? 

初いけ式

1年の初めに改まったことをするのは気持ちが良いものです。「今年こそはなんとか良い年にしたい」、「楽しく過ごしたい!」など、いろいろと欲望は尽きません。

2019年の初いけ式は着物を着てみました。日本の伝統的な着物は着ると気持ちが良いものですが、面倒なのです。洋服のようにはいきません。自分でできない部分は手伝ってもらって、移動するのも大変です。鏡に映った姿を見てみると、まるで別人がいます(笑)。少し、動きもそれらしくなります。言葉使いも、いつもと確かに違っているように感じます。

毎年、年の初めに初いけの儀式(初いけ式)が行われるのですが、この年は私がいける当番でした。着物を着て厳かに儀式を行います。いつもは賑やかな会場もシーンとしています。間違えないように、器を倒さないように気をつけて花をいけます。寒いときに咲くスイセンは凛としていて、見る人の背筋が思わず伸びます。ほっそりとした茶色い銅器の器に花をいけていきます。

毎年当番が割り当てられる形でいける人が決められていて、今年の当番に当たったのですが、やっぱり見るよりも、いけたほうが楽しい。新たな年はきっと良いことがありますように、と願います。