はじめに（文庫改訂版）

2019年末のクリスマスのころ、私が書いた初めての本が出版されました。友人知人に紹介して、感想をたくさんいただきました。熱いメッセージも聞くことができました。書いて良かったなあと、ありがたく思うことができました。本を出版することでもう一つの自分と出会って、これから新しい世界が広がってくれればとちょっとだけ期待もしていました。

そんななか、あっという間でした。突然、世の中が騒然としてきたのです。「新型コロナ」というなじみのない言葉でウイルスが流行の兆しを見せていました。それは今まで経験したことのない、よくわからない出来事でした。新型コロナウイルスの感染が最初に拡大したのは、中国でした。私たちは遠い海外で起きた対岸の火事という認識で、身近に起こるとは考えにくいという甘い考えがありました。

ところが新型コロナウイルスのニュースが報道されてから間もなく、すぐに身近な出来事となり、他人ごとではなくなったのです。そして、いろいろな活動も、生活にかかわることでさえ制限されできなくなってきたのです……。

出版後の喜びもつかの間、危険な世の中が現実となってしまい、よくわからない事態が続きました。私たちの行動が狭められ、次第に仕事にも影響が出てきました。いったい何がどうなっているのだろうと思い、新聞、テレビ、インターネットの情報などたくさんの媒体を見るようになりました。新型コロナウイルスの不思議なことがいろいろ見えてきますが、どれが正しいのか、自分で判断するしかありません。あまりにも情報が錯綜しているからです。

世界が大きく変化していることは確かかもしれない。では、自分の関係することでどんなふうに変化するのかを知る必要があると思いました。今から起きることをしっかりと見つめ、自分自身で感じて対応をしていかなければ……。こんなときは、自身の回りをよく見て、考えて見て、リスクを最小限に止め、できることをしようと決めました。

「ゆっくりと急いで」現状を見て、動くこと！　急な変化に慌てないこと！　自分に言い聞かせます。錯綜している情報を、何が本当なのか、必要な情報（自分にとって正しいと思えるもの）を取り入れていきます。周りを見渡すと、目に入る人々も、歩いている人も、マスク顔です。私には奇妙に見えます。しかし、これが今見えている世界の現実です。

すぐに終わるだろうと気楽に考えていたら、終わりが見えてきません。時代の大きな変化のなかで、今回2冊目となる改訂版の出版にあたり、読者の皆様に少しでもお役に立つ本になるよう願いを込めて執筆しました。

幻冬舎ルネッサンス新社の皆様の心からの応援をありがたく思い、感謝しています。こうして再び書くきっかけをいただいたことに、縁を感じます。