現在は、150万ボルトの超高圧電子顕微鏡もあり、超微粒子の立体的な観察が可能なシャドウイング(影づけ)技法もとられて結晶形が明確に撮影できるようになりました。電子顕微鏡は、解像力が格段に上がって科学の眼となって微細な世界に研究視野を広げ、ウイルスの構造までも判明しました。

さらに、ウイルスだけでなくあらゆる科学分野で広く使われ、微細な分子や結晶の姿を見ることができて研究発展に大きく貢献しています。今回の新型コロナウイルスも電子顕微鏡による映像によって、その姿が時々テレビ放映されて、世界中の人々に、この正体が確認されているように、球形で周りに多数のもやもやした突起があります(図表3)。

[図表3]新型コロナウイルス
パンデミックを起こしている新型コロナウイルスは、コロナウイルス科の一種で、時々電子顕微鏡写真がテレビで放映されて周知のように、表面は脂質のエンベロープに包まれ、エンベロープから多数の突起のスパイクタンパク質が太陽のコロナのように燃え上がって見えるのでコロナの名がつけられました。
このスパイクタンパク質は、感染する細胞を感知する触手と侵入する役を担っており、スパイクが標的の宿主細胞を認識し細胞の受容体(レセプター)に吸着して融合し、細胞膜に包まれて引き込まれるようにして、巧みに侵入するのです。
このウイルスは、呼吸器官の細胞を好んで侵入し、肺炎など呼吸障害をおこします。脂質のエンベロープは、アルコールや石鹸液で溶かされスパイクもなくなり侵入できなくなるので感染防止に有効なのです。