気づくともうお店が見えるところまできていた。店に入るとところ狭しとずいぶん高い所から足元の辺りまで、子供服が沢山並べられていた。華ちゃんが持ってきていた服は、全体的に白地にピンクの小花柄など女児に相応しいと思える物ばかりだった。おれは決して服のセンスは良くはない。だが華ちゃんを見ていると薄いピンクや薄い紫のように淡い色が似合う気がした。

そんな服をおれなりに探そう、華ちゃんの可愛さをもっと引き立てるような服を着せてやりたいと思った。こういう感情がもしかすると「親ばか」ってやつなのかもしれない。自分の子でもない華ちゃんに対して他人のおれが親ばか感満載で華ちゃんの服を選ぶ、誰か知り合いに見られたら恥ずかしい姿だろうな。そんな複雑な思いを感じながらもおれは服を物色しはじめた。

今の華ちゃんにどんな型の服が良いのか全然わからなかったけど、華ちゃんが持たされた服は上下の繋がったロンパースとかいう型のものばかりだった。おやじさんいわく、推定六ヶ月の華ちゃんにはピッタリなんだろう。おれは別れるときに着せる服と半年後くらいに歩き始めた華ちゃんに着て歩いてほしい服の二着を買うことにした。

ロンパースとやらは、薄いピンク地に黄緑色の四つ葉のクローバー柄の物を選んだ。華ちゃんにあわせてみたが良く似合った。クローバー柄には、華ちゃんのこれからの成長の無事と彼女の幸せを願い思いを込めた。

もう一着の服は薄い藤色の薄手の長袖でやはり胸元には小さなクローバーのワッペンがついた上着と紺色のスカートに白いパンツがくっ付いたもの。あと、その頃履けるであろう小さなピンク色の靴と白地に小花のついたクツ下をセットにして買った。半年先に着てほしい服と靴などはプレゼントラッピングしてもらった。そのころ親に開けてもらい着せてもらおうと考えたのだ。

これだけ買って帰るつもりだったのに、ふっと男の子のパジャマコーナーに普段おれが着ているパジャマにそっくりの物を見つけ、サイズを探すと華ちゃんがいま着られるサイズがあったので、ほかの物と一緒にそれも衝動買いしてしまった。

店を出て帰る道は行きと少し変えた。スタジオアンナという子供専門の写真館を前もって見つけてあったので、そこへ向かい華ちゃんと記念写真を撮った。華ちゃんにはてんとう虫の衣装を着せてもらって一人だけで一枚。そのあとおれが華ちゃんを抱きあげてあやし笑い合う瞬間を切り取って撮ってもらった。二パターンの写真を持ち帰った。

【関連記事】自分の子ではない赤ちゃんと「2日間」過ごした男の感情の変化