赤ちゃんと過ごす二日目

家に帰るともう夕方で、すぐ風呂に入り、さっき買ったおれとほぼおそろいのパジャマを着せてからミルクをあげた。おれと華ちゃんの最初で最後のペアルックだ。今夜は自分の布団で一緒に寝ようと決めていた。一時間ほど華ちゃんを膝の上で前向きに抱いて一緒にテレビを見た。

華ちゃんが来てからこんなのんびりした時間過ごしたのは初めてだった。おれの気持ちと扱い方が落ちつけば華ちゃんともこんなにしずかで普通に暮らせるんだと知った。少し喉がかわき水分がほしくなったので、華ちゃんと一緒にアップルジュースを飲んだ。テーブルの上にカメラを自動撮影でセットして華ちゃんを抱きポーズをとった。この写真はおれだけの思い出の記録で一生の宝ものにするつもりだ。

今日は少しだけ夜ふかしをする。飛行機ごっこをして華ちゃんと遊んであげる。飛行機ごっことは、おやじさんが華ちゃんの月齢をしらべているときに余談で聞いた遊びで、おれはねて足を上に曲げてそこに華ちゃんを腹ばいで乗せてゆらゆらさせるので、おやじさんが名付けたらしい。それをしてやるのだ。

華ちゃんの腹ばいはもう少しで足が床につく、床につけばハイハイができるんだろう。おれも見てみたいと思った。ハイハイをして、つたい歩きをして、歩きだす。そんな華ちゃんの成長を傍で見たいと思った。叶わない思いだ。自分でもおかしいと思える気持ちだった。いつか自分の子供を育てるとき、少しだけ華ちゃんの面影を重ねてみようと思った。

気づくともう九時を過ぎていた。華ちゃんもグズりはじめたので、抱き上げて横抱きにして少し揺らしてやると華ちゃんはあっという間に眠りについた。明日、最後の一日何をして過ごそうかなと考えながら……俺も眠ってしまった。

三日目の朝、夜一回も起きなかった華ちゃんの泣き声で目を覚ました。パンパンでもれる寸前のオムツを慌ててとり替え、すぐミルクを作り飲ませた。ゲップのあと一人遊びをする華ちゃんを見ながら朝食を食べた。

今日は華ちゃんと遊んだり、おやじさんたちを呼んで家族団らんみたいなことをすると決めていた。華ちゃんがバスタオルの端をかんで腹ばいで飛行機みたいに体を反り返ってゆらゆら遊んでくれている間におやじさんに電話をした。

「おはよう、おれだけど。おやじさんたち、今日も暇だろ。華ちゃん今日帰るだろうからさ昼間遊びに来てよ」

「そうだな。ちょっと行くか」

「じゃあ、適当に来てよ」

「ああ、じゃああとでな」