ヒョンソクは演奏を終えると、ヘグムを地面に横たえた。顔に深い悲哀と疲労の色を滲ませながら、彼は立ち上がった。アルコールの影響で足がぐらついていた。彼はシャツを脱いで、また湖を見下ろした。それから地面に置いたヘグムを拾い、鞄にしまおうとした。

しかしヘグムが鞄に入らなかったため、糸巻二つと、鉛の重りをつなげて作ったベルトを鞄から出して荷物を整理した。そしてヘグムと糸巻を鞄の中に入れ直した。その間に弓を固定していた紐が解けた。その紐は、鉛のベルトに絡まった。ヒョンソクは断崖に近づいていった。

その時、へグムから飛び出していた紐が、ヒョンソクの脚に引っかかった。その紐は、糸巻から伸びた弦が絡まっているほうの脚に絡まってしまった。ヒョンソクが断崖に近づけば近づくほど、彼の脚に絡まっている紐と弦は引っ張られていった。自分の脚に弦と紐が絡まっていることにも、ベルトに紐が絡まっていることにも、彼は気づいていなかった。

ヒョンソクは、鉛の ベルトを確認した。もし彼を見る者がいたら、絶望したこの男が何をするつもりか、わかり始めてきたことだろう。ヒョンソクはベルトを地面に置くと、また酒を飲んだ。彼はベルトを持ち上げて腰に巻きつけた。すると弓から伸びた紐が、ベルトの鉛と鉛をつなげている部分にはまり込んだ。彼はさらに断崖へと近づいた。ヒョンソクは遠方に広がる生まれ故郷の地平線を見た。その方向に目を凝らし、ゆっくりひざまずくと、深い敬意を表して地面に頭を垂れた。彼は静かに立ち上がり、断崖へと迫っていった。彼の目は、崖下の湖面の波を捉えた。彼の両脚が、急に激しく震え始めた。彼は目を閉じた。ズボンの裾が風にはためいているーー飛び降りることを急かしているかのように……。

ヒョンソクは深く息を吐き、大きく息を吸った。そして彼は飛び降りた……。