【前回の記事を読む】姉妹で1日入れ替わる!? 「行っといでよ。私が代役するから」

バルコニーから吹き込む風に揺れるカーテンを見ながら、気持ちが動く。妹が私の身代わりだと分かった途端、父親と母親は妹にどんな罵声を浴びせるやら。そして私は今後一切、外出禁止令が出て軟禁状態になる。

取り敢えずやってみようと、妹にどこのマダムというようなドレスを着せ髪をアップにした。スタンドミラーに映った妹を見ると、私たちは似ているような気がした。日頃は何かに付けて地味で目立たない印象があったけど、意外と漆黒が似合っている。

どう。せやね。微妙な返事をしながら、いけるかも、なんていう期待が湧いてくる。

「コンサート、何時から」

「夕方からやから、三時には出かけやな。でも、ほんまに大丈夫やろか」

大丈夫やって。その自信の根拠は全く見えないが、妹に縋る気持ちが強くなる。

「せやけど、ばれたら映美が大変な目に合うで。そんなん、ええんやろか」

「ええって。あたしは滅多に怒られへんから、たまにはママの怒る顔、見てみたいし。ええから。心配ないって」