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国田克美という女

一般の看護専門学校では学校長、副学校長、教務主任がおり、その他の常勤の看護教員は専任教員となっている。各教員は看護学の専門領域分野を担当している。しかし、実際の看護学は医学を基礎にして成り立っているので、当然正しい医学的知識が必要である。

医学系講義は主に医師が担当しており、生化学、微生物学、薬理学、病理学などの基礎医学系の専門基礎分野と内科学、外科学などを中心とする臓器別の臨床医学系専門分野などがある。

国田は専任教員の質的向上が必要であることから、各専任教員に対して自分の担当している看護学に関連のある医学系の講義をできるだけ聴くように指示した。また、医学系の講義を担当している講師の講義内容について、専任教員からみて適切か否かのチェックをすることを命じた。すなわち、休講が多いかどうか、講義内容が偏っていないかどうか、教え方はどうかなどを評価することであった。

専任教員は医学系講義を聴講することによって自身の医学的知識を高め、看護学についての指導力向上に役立つという狙いが国田にはあったので、以上のことを四人の専任教員に夏休み明けの九月から実施するように指示した。

九月になって専任教員が医学系講義を聴講したところ、B講師は教科書があるにもかかわらず、自分の専門分野に関する講義を重点的にしており、しかも医学的に高度な内容で難解な専門用語や英語を駆使して話されているという報告があった。ということは看護学生にとっては難解で理解できないということである。

また、内科学を担当しているC講師は講義時間の約二十%が休講になって、自習をさせていた例もあったし、女性のD講師の声が小さいため後方の席の学生には聴き取れないという苦情もあった。