この事務員やはり中のレベル

後日、面接が行われたが、すべて国田主導で次々と進められた。村山と久船は面接の聞き役に回っていた。

村山は「わしの学校だ」という気分でいたし、久船は「国田が一生懸命に学校内のことを説明し、本人に質問していることに感心し、国田に任せて良い」と思った。

面接終了直前に国田は「専門学校ですので、夏季休暇が約一週間与えられています」と言った。

実際のところ、国田ら教員は全員二週間の夏季休暇を取っていたのである。村山と久船は盆休み以外はカレンダー通り出勤していると思っていたので、このようなことを知らなかった。

国田が専任教員と自分のために独断でしていたことである。翌日、国田は事務員に応募してきた生徒で面接をした大本節子に電話を入れた。

「昨日、貴女と面接をした国田です。貴女は事務員として、また、私の秘書として適任と思い、採用を推薦しましたところ、学校長も副学校長も同意されて、採用が内定しましたので、お電話を差し上げましたのよ。近いうちに、内定通知が届くと思います」

国田は丁寧な言葉遣いをして、自分の力で採用を決めたことと秘書として働いてもらいたいと言わんばかりである。

「三月下旬に、またお電話をしますので。よろしくお願いします」

「わかりました。ありがとうございます」

このようにして、新事務員採用のドタバタ劇は僅か十日間で終了した。現在の事務員の戸崎愛子は、学校開設以来、学校事務を担当しており、国田が何か質問し、少し改善案を提示しても、以前からこのようにしていましたと言って、すぐに言うことを聞こうとしないところがあった。

国田はその前任の藤本副学校長兼教務主任の意向を尊重していることに少し反感を持っていたので、来年からはどうにか新人を教育して事務員には自分の秘書のような仕事もしてもらえないかと秘かに考えていた。