事務所、それはどうも処理場に持ち込まれた廃材などを適当に組み合わせて作ったに違いなかった。その小屋の屋根に使われているトタンの波板は、錆びた鉄釘でやっと留まっている程度で、一部天井から剝がれているところは、少し強めの風が吹く度に、大きな口を開けたり閉じたりを繰り返し、あたかもここを訪ねてくる者に、話し掛けているような素振りであったらしい。沙織は勇気を奮い起こし、半ば朽ちかけて穴だらけになっている…
[連載]塵芥仙人
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