赤痢や疫痢のうわさが、あちこちで聞かれたころの事、父や母の心配は一通りではなかったのだろう。以後、勝手にアイスクリームを食べる事は、固く禁じられてしまった。アイスクリーム事件があってから、何年か経っての夏祭りの日。祭りの事とて、昼間からお酒が入って上機嫌の父が、私と弟を「祭りに行こう」と誘った。「わーい」私たちは小おどりをして喜んだ。父が一緒だと、何でも買ってもらえる。私と弟は、いそいそと父に従…
[連載]時をつむいで
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エッセイ『時をつむいで』【第9回】中村 良江
ほろ酔いで上機嫌な父と私と弟で行った夏祭り。何でも買ってもらえると喜んでいると…
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エッセイ『時をつむいで』【第8回】中村 良江
夏祭りで具合が悪くなった私。お医者さまから「お祭りで、何か食べたの」と聞かれ…。
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エッセイ『時をつむいで』【第7回】中村 良江
太平洋戦争がはじまり…男女とも上半身裸の「耐寒訓練」の思い出
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エッセイ『時をつむいで』【第6回】中村 良江
「虚弱児」ということで大阪市が運営する淡路島の郊外学園でひと夏を過ごすことに…
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エッセイ『時をつむいで』【第5回】中村 良江
本当にくせ毛なのに!先生の心無い言葉に傷ついた心。それを聞いた父は…
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エッセイ『時をつむいで』【第4回】中村 良江
初めての家庭訪問の日、気になってそっと家の様子を見に戻ると・・・。
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エッセイ『時をつむいで』【第3回】中村 良江
ヤミの物資を扱い、警察に拘留された父。戻って来た背中に家族全員が息を呑んだ…。
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エッセイ『時をつむいで』【第2回】中村 良江
「今日のおかずは金時豆」幼稚園で…お弁当に一喜一憂のお昼時間。
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エッセイ『時をつむいで』【新連載】中村 良江
「私の人生の記憶はどうやら怖い経験から始まるらしい」