舞の情報通なのには呆れたが、それが助けになる気もした。まず、消去法で、高橋さん、内藤さん、上田さんの三人は、私たちの疑いから消えた。

棚田さんは、怪しい気がした。女の子たちを見る目つきが嫌な感じで、何だか話しかけにくい人だ。舞も同意見だ。町田さんはいい人だけど、気に入らないことがあると、突然キレることがある。舞は、それが怖い、と言っていた。印象が薄い斎藤さんは、よくわからない存在だ。体格から言っても、中肉中背で、目立たない。

塚本さんの笑顔は、考えようによっては、作り笑顔な気がする。たいがい不自然な笑顔だ。自分に疑いがかからないように、笑顔にしている気がする。大きな体に不自然な笑顔は、ちょっと不気味だ。橋本さんは、ルックスは悪くないのに、爬虫類が好きなために、一部の女性社員に敬遠されている節がある。

男の人については、全員話し合った。何だか悪口を言っていただけみたいだが、ここから話を進めなくては。舞が言った。

「初めから言いたいことだけ言ったのが悪かったのかしら……。何か考えたほうが良かったかも。テーマとか決めて……。また、悪い面だけでなく、違った見方をするとか……」

確かに。遠慮なく言いたいことだけ言ったが、うまく前に進めなかったら意味がない。疑いをかけるとしたら、なかなか難しいが……、誰か?

棚田さん、塚本さんあたりは、特に怪しい。だからといって、直接犯人と結びつけることもできない。得体の知れない犯人に結びつく証拠がないことには。でも、いわゆる「怪しい人」として、棚田さん、塚本さんの行動は、社内ではお互いに監視し合うことにした。あまりに大変な事態に職場が陥る前に、犯人が捕まるといいが……。

単なる脅迫だけではないと思われる状況に、皆、恐怖を感じていた。探したなら、見つかるかもしれない宝探しなら楽しいが、話は逆だから、全く気味が悪かった。

※本記事は、2021年7月刊行の書籍『いたずらな運命・置き去り 【文庫改訂版】』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。