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中部地区の普通科高校

修学旅行と私(1) ~旅行担当として、校外学習や修学旅行をプロデュース~

学年内には、「生活」、「教務」、「進路」、「旅行」、「会計」、「庶務」などの係分担があった。そんな中で、私は「進路」と「旅行」を担当した。「進路」担当とは、分掌プロパーの進路指導部のスタッフと連携・協力し、学年に関わる進路業務を担うものである。

一方、「旅行」担当とは、主に、1年次の校外学習(遠足)、2年次の修学旅行、3年次の校外学習(遠足)などの企画・立案や旅行業者との渉外を担うものである。私は2期連続6年間、学年に入り、2度とも旅行担当になった。

最初の学年の1年の校外学習では、2年で実施する修学旅行を念頭に置き、「箱根」への校外学習を企画した。来るべき修学旅行の予行演習みたいなものだった。集合時間は守られるか、班別行動が一定の制約の中でキチンと行動できるか、などをチェック項目として実施した。

2年次の修学旅行では、そうした“訓練”を踏まえ、目的地を「高松・倉敷・京都」方面とした。丁度、瀬戸大橋が開通したこともあって、話題性も取り入れての目的地選定であった。

そこでは、私の個人的な志向で、高松の栗林(りつりん)公園※1をコースに加えた。長閑な田園風景の中を単線「ことでん」(琴平電鉄)に揺られ、少人数の仲間同士で栗林公園を目指すというもので、都会っ子の生徒たちに、日本の原風景を感じてもらうことを狙ったものだった。

旅行担当は、学年会や管理職との打合せ、業者との渉外、生徒たちで組織される旅行委員会の指導などを踏まえながら、旅行を“形”あるものとして、いわば“芸術作品”のようにつくり上げていくのである。そして、修学旅行が成功するか否かは、旅行担当と業者の手腕に大きく左右される面が多分にあった。

それだけに、その職務は重責を感じる一方で、大変やりがいのあるものであった。加えて、大きなお金を動かし、大きなイベントを差配することができるという、教育活動の中では唯一の“巨大プロジェクト”に携わることができる仕事でもあった。

※1:「栗林公園」香川県高松市にある特別名勝。ミシュラン三つ星を獲得し、舟遊びやお茶をいただいたり工芸品を鑑賞したりと、色んな楽しみ方ができる。元高松藩の大名庭園で平庭部だけでも東京ドーム3・5個分あり、文化財指定の庭園の中では日本一の大きさを誇る。(出46典:『香川県観光協会公式ホームページ』より「栗林公園」一部参照)