次に、2つのクラスターの特徴をつかむためにいくつかのデータを図表2にまとめている。

写真を拡大 [図表2] 2つのクラスター

1段目は、『ランキング調査』において学生が1位に選んだ各コースの人数を示している。これを見ると、第2クラスターは91名全員が未回答である。

一方、第1クラスターを見ると、Cコースを1位に選んだ学生が152名と一番多く、以下、Bコース75名、Dコース71名、Aコース42名と続く。なお、この表の「その他」とは先述の通りキャリア教育のゲスト講師を1位に選んだ学生数である。

2段目は、『希望調査』において学生が第1希望に選んだ各コースの人数を示している。これを見ると、第2クラスターでは1名を除くすべての学生が未回答である。ここから、第2クラスターの学生は『ランキング調査』および『希望調査』を提出しなかった、すなわち導入講義の最終回に欠席した可能性が高いことが分かる。

一方、第1クラスターを見ると、Dコースを第1希望にした学生が163名と一番多い。以下、Cコース97名、Aコース70名、Bコース54名と続く。ここで導入講義の主旨を改めて考えてみよう。この講義は、各コースに所属する専任教員が自身の研究内容や演習概要について情報提供するものであった。

それゆえ、講義内容を聞いて強く惹きつけられたゲストを『ランキング調査』で1位に挙げたならば、そのゲストの基本演習を第1希望にすると考えるのが自然である。

その意味で『ランキング調査』と『希望調査』は連動すると予想したのだが、この結果を見る限りそうなっていない。どうやら学生にとって導入講義での印象と基本演習への志望動機が食い違っている実情が想起される。

そして、3段目は導入講義の成績分布である。これを見ると、第2クラスターでは合格したのは3名のみで他はすべて不合格である。このクラスターの学生が少なくとも『希望調査』を提出しなかったことを踏まえると、彼らは最終的に導入講義の単位習得およびコース選択を事実上放棄したのではないかと考えられる。