2004年のゴールデンウィーク後半は、世界第二の紅茶生産国ケニアへの出張となった。ナイロビからの帰路は、オランダのアムステルダム経由で週明けはドイツ・フランクフルトへ。スキポール空港寄りに位置するヒルトン・アムステルダムを移動日の週末宿泊先としてチェックインした。

アムステルダム市内の運河と繁華街

なんとこのホテルで1969年3月にジョン・レノンとオノ・ヨーコが結婚後、世界平和を訴え7日間の「ベッドイン・フォー・ピース」をしたそうで、その時の写真が、さりげなくロビー横の壁に飾られている。そういえば当時はベトナム戦争が泥沼化の様相を呈し、アメリカからヒッピーが誕生、鳩の足跡を象ったピースマークが流行っていた。

何はともあれ、ここアムステルダムで欧州紅茶事情調査の開始。五月初めの土曜の夕方、チェックイン後のホテルから散歩にぶらっと出かけたが日はなかなか暮れそうもない。

夜の8時も大分回ったころ、夕方の薄明かりの街中は、爆竹や鳴り物を使って大声で騒ぐ大勢の地元の人たちが、まるで反政府デモかのように叫びながら押しかけて来るのは、何やらキナ臭く、かなり薄気味悪い。

しかし、少し変だ? なぜか皆濃いオレンジ色のシャツを着ている。後でわかったことだが、彼らはフーリガン化したサッカーサポーターだったのだ。贔屓のオランダチームが勝ったか負けたか知らぬが、大柄の男達の群衆は、なんとも怖かった。

ところで話は、紅茶にもつながって、FTGFOPなど紅茶のグレードをいうときに使われるOP(オレンジペコー)のOは、オランダの国の色オレンジに由来しているとすることが、紅茶関連の信頼できる書籍に記されているらしい。

ヒルトン・アムステルダム、運河に面し中庭にマリーナもある(*2004年)

その昔(17世紀頃)オランダ東インド会社が茶の交易を仕切っていた頃から、いい紅茶にはオランダ王室にちなんだオレンジをつけて、マークしたのが、その始まりとの説だ。

水色も茶葉も全くオレンジ色ではないダージリンの一番茶のグレードにも、オレンジのOをつけるのは、その説を裏付けている、とあるインドのティーマンが言っていた。