つまり、省エネルギー・エネルギー効率化というのは、どこまでやっても終わりというものがないということです。終わりがないと言えるのは、単に体重計に乗り続ける必要性という意味だけではなく、新しい技術が出てくれば、それらを活用することで、さらにエネルギーの削減や効率的利用に資することができるのです。

この点を分かりやすい例で紹介すると、照明設備における蛍光灯からLEDへの進化があります。一般の蛍光灯をLED照明に更新すると、同じ明るさであっても電気消費量で2分の1から3分の1になります。筆者がESCOビジネスを始めた1990年代後半には、この使えるLED照明設備は市場にありませんでした。

つまり、エネルギー消費をするすべての設備機器は、製造業であれば製造用機器自体も含めて、日進月歩で効率化は進んでおり、古いものを新しい高効率機器やシステムへ更新すれば、それだけで大きな省エネルギー・エネルギー効率化が達成できるのです。

この技術革新のスピードはますます速まっており、高効率の設備機器への更新をどのタイミングでどの程度行うことが脱炭素に向けて最も効率的・効果的なのかなどは、なかなか難しい経営判断が求められるところですが、常にそうした目線と管理体制を維持していくことが極めて重要でしょう。

企業のみならず、社会全体としての脱炭素化を進めるに際して、まずは省エネルギー・エネルギー効率化を基盤とし、定常的にエネルギーの利用状況を運営管理すべきことに納得いただけましたでしょうか。

わが国では確かに一度は「絞り切った雑巾」状態でしたが、雑巾は常に絞り続けなければ、また知らず知らずに水分を含んでしまいます。時には雑巾自体の種類もさらに水分吸収力の強いものに交換することも必要になるでしょう。

加えて従来からの省エネルギー・エネルギー効率化というイメージが、我慢する、あるいは減らすということから負のイメージがあり、その概念を払拭することと同時に、経営者のみならず会社全体の意識改革によって、この「絞り切った雑巾論」から脱却していこうという会社としての強い意志が必要なのではないか、その先頭に立つのが経営者であるべきと筆者は考えます。