拡大するコロナ感染の波…

「今日は股関節をマッサージしていきましょう。腰の痛みを間接的に緩和できますから」

事故から二週間たった頃、腰の痛みが前よりも増してきていた。医者によると事故直後は痛みがなくても、後で出ることが多いらしい。勝手に治療をやめないで通院をするよう、強く勧められた。

事故の時、病院に行くよう強く勧めたあの救急隊員の男性が本当に心配してくれていたことが今になってわかった。

「本日の感染者数百二十五名。医療の病床逼迫」

待合室で次回の予約を待っている間、テレビが病院の現状を伝えていた。通常の入院患者に加えて感染者を受け入れるため、看護の人手が足りない。

搬送されてくる新規の感染者、そして既存の患者の看護に慌ただしく追われる怒涛の嵐。家に子供をのこしたまま、何日も病院に寝泊まり帰れない母親看護師が、スマホで我が子のビデオメッセージを見つめて涙する姿。

トイレやベッドの消毒、使ったタオルの洗浄なども感染防止のため看護師が行うため仕事が増えている。

医者は、より多くの人を助けようと、休みを返上してホテルに療養中の患者の検査に向かう。朝が来れば早く病院に行って、また溢れる患者の対応に追われる怒涛の日々。もう体力の限界を超えているはずなのに、不眠不休で最前線で感染と闘う姿に胸が熱くなった。

都内のホテルで働く彼女は、勤務先のホテルが感染者を宿泊施設として受け入れ始めたと言っていた。感染と隣り合わせにいることは他人ごとではなく胸が震えた。